埼玉にアタカエンジニアリングという会社がある。
実はこの会社、(たぶん)国内唯一の、ランチア・ストラトスのレプリカを
製造販売している会社なのである。
ストラトスのレプリカというと、CAEとかホークとかが有名だが、
アタカエンジニアリングの場合、公式サイトで生い立ちを見る限り、
ホークのOEM生産だったようなのだが、このたび純日本製レプリカを
発表した。その名は「HFR2000-typeⅡ」。
かつて光岡自動車が、艱難辛苦を乗り越えて運輸省の
認可を取り付けて、晴れて「自動車メーカー」として、
意気揚々と発売した、ロータス7のレプリカ「ミツオカ01」は、
オリジナルと比べると、ハンドルはごついわエアバッグはついてるわで、
完全に「別の車」になっていた。しかしそれは正しい選択だと思う。
なぜならばそこには、どういうユーザーを対象に作ったかという
意志が明確だったから。
曰く、「よりよい模造品を楽しく乗りたい」ということである。
本物が欲しければ、オークションで買えば良い。
精密なレプリカが欲しければ、これまたケータハムの出物を
オークションで買えば良い。ただ、そこにはいろんな条件がついてくる。
メンテナンスの煩雑さ、乗用車としての低い快適性などを、
ある種のマゾヒスティックさでもって容認できるオーナーであることだ。
つまり色んな意味で「知識と余裕のある」人であることが前提なのだ。
しかし光岡自動車は、「知識も余裕もないけど憧れの車に乗りたい」
という層に向けて、あれを生み出したのだ。

このためミツオカ01はロータス7とは似て異なるものとなったのだが、
100%日本製パーツの使用によって、大幅に間口の広いものになった。
あの少し不恰好なコックピットからはむしろ、光岡自動車の気概を感じるのだ。
話をHFR2000に戻す。
レプリカを作るときに、制作のコンセプトは二つに分かれると思う。
「細部にまでこだわる」か、「似て異なるものを作る」だ。
アタカエンジニアリングの場合、社長がメカニック出身だそうで、
おそらく最初は「細部までこだわる」だったはずだし、基本的には今でもそうだろう。
ただ、細部までこだわるとストラトスの場合、究極的にはエンジンを
フェラーリのV6を載せなくてはいけないし、CAEみたいにアルファロメオのV6を
載せたとしても、結局はメンテナンスに泣くことになる。
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そこでアタカエンジニアリングは、自社で制作する初代ストラトスの駆動系を
世界一信用のおける日本製エンジンにすることにした。
日産のSR20DETだからシルビアかなあ?とりあえずガレージにしまっておくのでなく、
バリバリに走らせる気満々の選択である。このエンジンの選択はホーク社との間で
OEMに関するビジネス面で揉めなかったのだろうか。
この時点でアタカエンジニアリング製ストラトスは、よりオリジナルへ近づくのを
破棄したわけだが、その分光岡の「よりよい模造品を楽しく」イデオロギーを
「走り」の側面から追求し始めることになる。
つづく


