2008年7月アーカイブ

BMW M1 オマージュBMWっていうと、かれこれ40年以上黒字経営を続け、採算というよりは収益最優先な上に、経営に失敗したMGとローバーをたったの10ポンドで売却した冷血さ(かえすがえすもこれは凄いよなあ)と、モータースポーツもオラオラ行くぞという会社体質で有名なわけだが、このモータースポーツ関連研究開発部門子会社であるMGmgHが、今から30年前にヨーロッパのGTカーレースのグループ4およびグループ5(つまりポルシェがやりたい放題やってたカテゴリー)への参戦を目指してM1という車の開発を始めた。

BMW M1 1981

BMWの本気度は、デザイナーにジウジアーロを起用して、当時のオイルショックによる逆風にもめげずに自社製の4.5V12気筒エンジンを開発したりするところにも現れているのだが、肝心のMGmgHが、既存の車の生産で忙しく、とてもM1にまで手が回らなかった。本当はこの時点で止めておけばよかったんだろうなあ。

「いいから作れってば!」とBMWにせっつかれたのか、それともヤケになったのかMGmgHは、このM1のシャーシ開発をよりによってランボルギーニに依頼してしまう。たぶんヤケになったんだろうなあ。もうこの時点でこの車の数奇な運命が決定づけられたようなもんだ。

BMW M1 1981
よりによって70年代後半の経営破綻状態のランボルギーニである。まあランボルギーニって基本的にはいつも経営破綻状態なんだけど。
そうしてMGmgHは、エンジンの開発に専念してV12気筒から直6にエンジンを開発し直したりしながらも、少なくとも駆動系は順調に開発を進めていたのだが、問題はランボルギーニの作業が一向に進まないことだった。当たり前である。ランボルギーニにそんなもん依頼した時点で5秒あればわかりそうな展開である。このためBMWはランボルギーニを切ってドイツの別会社にシャーシ部分の開発を改めて依頼して、それをジウジアーロのいるイタルデザイン社に送ってFRP外板を張り付けて、またドイツに持って行ってMGmgHが駆動系と足回りを取り付けるという、とんでもない非効率的生産方法を取るはめになる。

GTカーレースのグループ4のホモロゲーションは「12ヶ月に400台生産」であるから、到底クリアできるわけもなく、どうにかこうにかクリアして80年の終わりにやっと参加したら、今度はレースそのものの規定が変わってしまい、結局M1のモータースポーツ参戦は短命に終わることとなる。誰のせいかと言えばランボルギーニのせいである。

BMW M1 オマージュ
 それから30年。BMWがプロトタイプとは言え再びM1を出そうとしている。今度はランボルギーニを排除してるだろうな。よし。

ボンネットのエアベンド、ルーフラインをボディのリアセクションから分断するブラックのカットライン、リアの左右に取り付けられたエンブレムなどが初代M1と共通している。だから「オマージュ」なんだなあ。


BMW M1 オマージュ
要するに当時のM1に関してBMWのスタンスとしては、「我々はあくまでM1を、当時のモータースポーツに新風を吹き込むべく革新的なアイデアでもって開発したのであって、その試みは決して失敗と言えるものではなく、ただ不運であった」というところなんだろうなあ。加えて言うならば「全部ランボルギーニが悪い」ってとこか。ごもっとも。



今回のオマージュは、今のところモータースポーツの参戦も市販の予定もないみたいだが、E92M3に搭載されている7速M・DCTをそのまんま載せて市販してみたらヒットしそうな気がする。もちろんライバルはポルシェのGT3ね。
ただし、市販するときはキドニーグリルをもう少しスマートにしてくれないと、これじゃヤッターマンに出てくるドロンボーのメカみたいだ。
BMW M1 オマージュ


 

さて、正式に「ロータス・イーグルプロジェクト」から、「ロータス・エヴォラ」と命名されたこの車だが、いわゆるエボラ出血熱の「ebola」ではなく、ユネスコ世界遺産であるポルトガルの「evora」であるから、発音は「エヴォラ」なのか「エヴォーラ」なのか「イーヴォラ」なのかは現時点では不明である。とりあえず本文中ではエヴォラと読んでおく。

ロータス エヴォラ
ロータス エヴォラ
とにかくでかいボディである。サイドの絞込みがかなりきつくなっているのはエリーゼ以降のお家芸なのだが、今回ホイールベースを伸ばしているからその分細長い車に仕上がっているんだけど、これ曲がるのかなあ。

それよりも2+2にするならこのサイドの絞込みは厳しくないだろうか。車重は1350kg。うーん…。ちなみにこの車のプラットフォームはVWと共同開発して1800kgまで耐えられるように作ってあるというから、間違いなくコンバーチブルタイプへ派生すると思われる。


ロータス エヴォラ

エンジンはトヨタの3.5リッターで280馬力ってことは、2GR-FEを載せるらしく、これはエスティマなんかに載っているのと同じものである。写真で見る限りでは横置きなのだが、トランクルームの確保とまっすぐ走らせるためのホイールベース延長なのだとしたら、フェラーリの360モデナと同じ発想である。




ロータス エヴォラうーん、後部座席の写真がないから判断つかないんだけど、大人が二人乗れるようなパッケージになってないことだけは断言できそう。
それと今回公開されたモデルは左ハンドルであるから、完全にターゲットはEUとか北米とかの海外市場だろう。まあエリーゼだけでは安定した利益はあげられないんだろうから仕方ないけど。

ただ、全体から伝わってくる中途半端さと気になる。特に車重とエンジンのチョイスが問題ありだ。もともとロータスの車は代々エンジンはしょぼいのを載せている代わりに、卓越した車体の軽さが運動性能を跳ね上げていたわけだから、このサイズでしかも2+2となると、かなり退屈な車になってると思わざるを得ない。

だいたい4人乗り市場向けの車を作りたかったのなら、コルティナ・ロータスみたいな超軽量FR車でも作れば良かったのに、今までのロータスにない物を求めたらよそからの中途半端な寄せ集めになりましたって感じの車になってしまったのが、このロータス・エヴォラってとこだ。

ロータス エヴォラ
「2008年はロータスの創業60周年だ。同じ年にエボラという、ロータス・レインジにとってファンタスティックな新型が追加される。エボラはロータスのコアバリュー:軽量化と効率化によるパフォーマンスを体現している。コリン・チャップマンも承認してくれると思う」
グループ・ロータスのマイク・キンバリーCEO談

いやー!!そりゃ「死人に口なし」ってもんだと思うぞ。

イギリス人らしい発想で、車をいろんな側面から検証する番組「Top gear」がわざわざ日本までロケに来て実際にやってみたらしい。北陸からスタートして、かたやGT-Rで高速を。かたやJRの交通機関を使いそれぞれのルートで千葉をゴールに競争する珍道中である。

 


GT-Rのジェレミーはトンネルが多いだのぼやきながら、沢ガニのおやつ食べたりカレー味のラムネ飲んだり。交通機関利用のリチャードとジェームズは車内で携帯使って注意されたり京都で新幹線の切符買うのに苦労している。


ガソリンスタンドで女の子が、売店ではまじめそうな店主がジェレミーにからかわれる。お前だって変な外人だろうが。


ジェレミーは東京に到着するも迷子になり、リチャードとジェームズは横浜ではぐれる。


ジェレミーはアクアラインを疾走。リチャードとジェームズは海路千葉へ向かい、千葉に着くとワインディングをケツ振りながら疾走するGT-R。ロープウェイで山を登る二人。最後は石段をそれぞれ駆け上がる。




全編に渡って、微妙に人を小バカにした態度が見え隠れするがこれはどんな対象にでもそういう視点で作ってる番組なのだからいいんだろうなあ。韓国車の特集のときなんか公開処刑みたいな扱いだったから、それに比べたらまだマシなのかも。どうもGT-Rのことは気に入ってるみたいだし。

モスクワからウランバートルまで4347マイル(約7000キロ)を突っ走るトランスシベリアラリーが、今年も7月11日から25日までの日程で開催されており、去年の今頃よってたかって26台でシベリア大陸を走破して上位10台中7台を独占した上、ほとんど全車が完走してしまったカイエン・トランスシベリアが今年も「カイエン・トランスシベリア2008」としてよってたかってエントリーしている。

ポルシェ カイエン トランスシベリア2008前回のフィードバックにより夏場のシベリア大陸の過酷さは、暴風雨と増水した川渡りにあると判断したようで、今回は防水がさらに徹底しており、新設計のサンプガードが施され、エアインテークはボンネットの上である。

カイエンの他のモデル同様、カイエンSトランスシベリアでもフルタイム全輪駆動のポルシェ・トラクション・マネージメント(PTM)が採用され、ポルシェ カイエン トランスシベリア2008エンジンのトルクの62 % が後輪に、38 % が前輪に配分。多板クラッチ電子制御モーター駆動式で、走行条件により駆動力の配分を変化させ、必要に応じてエンジンのパワーを 100% 前輪または後輪に振り分けることも可能な上、センターおよびリアのディファレンシャルロックは電子制御式で、前後輪のトラクションの不足に対応するだけでなく、車速、横G、ステアリング角およびアクセルペダルポジションの各センサーからの情報も計算してPTMは常時適切なロック率を計算し、前後アクスルに必要な駆動力を配分する。

ミッションはカイエンGTSから移植した6速ATで、サスペンションはPDCC(ポルシェ・ダイナミック・シャーシ・コントロール)で車体のロールを完全に排除している。

ポルシェ カイエン トランスシベリア2008


とりあえず今年は「何十台」でよってたかってシベリア行軍しているのだろうか。

ロータス・エヴォラ「許さん」
これがこの車に対する第一印象。
まぁたボンドカーにしてもらおうと思ってるんじゃないか?

今年の7月22日にイギリスで行われるモーターショーに、ロータスが出す新しい車がこの「ロータス・プロジェクトイーグル」である。ジャッキー・チェンですな。

写真がこれしかないので、細かいところはわからないのだが、現時点でわかってることは、

・トヨタ製3.5リッターV8エンジン搭載(ダメ)
・非常に狭い後部座席がある4人乗り(ダメ)
・タッチパネル制御の純正ナビやらカップホルダーがある(ダメダメ)
・カーペットやフロントガラスの反響まで計算されたオーディオシステム(ダメダメダメ)
・ゴルフバッグが積めるくらいトランクが広い(なんだとおおおおおおお!!!)

この「ゴルフバッグが積める」という付加価値何とかならないんだろうか。フェラーリもそうなんだけど。やっぱり北米市場っていうのは、今の時代どうしても無視できないんだろうなあ。
その点「ゴルフに行きたければ別にカイエンも買えばいいじゃないか」と言わんばかりに、まかり間違っても911やGT3のトランクにそんな気を使わないポルシェ様は偉大です。一生ついて行きます。

そもそもロータスの一番のウリは、ライトウェイトスポーツだったわけで、古くはスーパー7から、90年代には車重わずか750kgなんて相撲取り5人いれば持ち上がりそうなエリーゼみたいな車に至るまで、徹頭徹尾「軽くてグイグイ走る」車ばかり作っているのがロータスという会社だった。時代に合わせて少しずつ車体が大きくなっていくのはある程度しょうがないとしても、2006年に復活したヨーロッパにしたって往年ほどスポーティではないとは言え、6速MT直6という「グイグイ行くぞ」な車だった。

そんなロータスが、新しいプラットフォームで作った車がこんなんだと「またどこかに買収されたいのかな」とか思いたくなるのだ。

Hot_Wheels_Front_4_Lo_Res.jpg


どうせならこんな感じで行って欲しかったぞ。
ちなみに今回これはどうするんだこれは。

※7/22追記:

ロータス・イーグル(仮)は「ロータス・エヴォラ」という名前として正式にデビューしました。

フェラーリ360モデナフェラーリは元々レースをやるための会社であり、今年のレース資金を調達するために、前年の型落ちしたレーシングカーをイタリアの郊外に住む好事家の貴族に、売っ払ってやりくりしていた。

そのせいかフェラーリは今日に至るまで「スポーツカー」とか「スーパーカー」という言葉は絶対に使わず、「この手のロードカー」という呼び方を崩さない。「スポーツカー」とか「スーパーカー」とは、ハイレベルな乗用車のことであり、「あくまで自分たちはレース会社であり乗用車メーカーではない」というわけだ。


フェラーリ360モデナさてF355の後継車種として登場したこの360モデナであるが、とにかく車体がデカい。
これもう「ピッコロフェラーリ」とは言えないデカさだろ。ボディの全長がF355に比べて約22センチ。車幅と車高がそれぞれ2~6センチ程度大きくなってるから、要するに細長くなっているのだ。

ボディの大型化の理由は「アメリカ市場のニーズに合わせてゴルフバッグが積めるように」ということらしい。これでもまだ自分たちを「あくまでレース会社」と呼ぶか。

360_5.jpg「マラネロの跳ね馬がゴルフバッグっすかぁ?いやー日和ったもんですねえフェラーリさん」と意地悪な悪態をつきつつスペックを見ると、まず車重。軽い!約1400kg。このサイズでF355からマイナス60kgである。その理由はアルミボディとアルミフレームの採用なのだが、これはモデナよりも前にアウディが採用してる。そしてアウディよりも前にホンダが採用しているので全然偉くない。

エンジンはDOHC5バルブのV型8気筒で、F355よりも低い重心で、ボディが長い分前進した位置にマウントされている。

フェラーリ360モデナボディは軽いわエンジンの重心は低くてバランスは取れてるわで、実に理にかなってる車に仕上がっているので、ゴルフバッグの下世話さを許してあげましょう。
しかも実はこのモデナは、のちのフェラーリの歴史を変える設計思想が盛り込まれている。

リアのトレッドが1620mmに対してフロントが1650mm。つまりフロントの方が幅広なのである。ミッドシップエンジンの場合はリアが重いので通常リアのトレッドの方を太く作るのだが、このモデナは逆なのだ。

これはどういうことかと言うと、まずゴルフバッグを入れるためにホイールベースをびよーんと伸ばすと、直進安定性は向上するのだが、重くて曲がらない車になる。その重さはアルミボディによる軽量化で対応し、次に前輪を左右に距離を伸ばして配置する。つまりいつもより脚を広げて踏ん張らせるのだ。そして左右にガバっとあけたエアインテークから空気を入れてグランドエフェクトによってフロントを地面に押し付ける。

しかし、前輪にかかる荷重が大きくなると路面のコンディションの影響をもろにかぶってしまい、ハンドルを取られる危険も出てくるから、タイヤを細くすることによってハンドリングと乗り心地の両面をカバーしようという発想なのだ。なんだ完璧じゃないかこの車。

こんな完璧な車な上、生産時期が、おりしも自称本職のF1におけるスクーデリア・フェラーリの絶好調と重なったものだからこのモデナ、フェラーリ史上最大のヒットとなり、売れに売れたわけである。ゴルフバッグなんか積んでるくせして。

フェラーリ360モデナ
ただこの車、マクラーレンF1に似てないこともないと思うのは気のせいだよな。きっと。

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