フェラーリ世紀末黄金期その弐~F355から360モデナへ~

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フェラーリ360モデナフェラーリは元々レースをやるための会社であり、今年のレース資金を調達するために、前年の型落ちしたレーシングカーをイタリアの郊外に住む好事家の貴族に、売っ払ってやりくりしていた。

そのせいかフェラーリは今日に至るまで「スポーツカー」とか「スーパーカー」という言葉は絶対に使わず、「この手のロードカー」という呼び方を崩さない。「スポーツカー」とか「スーパーカー」とは、ハイレベルな乗用車のことであり、「あくまで自分たちはレース会社であり乗用車メーカーではない」というわけだ。


フェラーリ360モデナさてF355の後継車種として登場したこの360モデナであるが、とにかく車体がデカい。
これもう「ピッコロフェラーリ」とは言えないデカさだろ。ボディの全長がF355に比べて約22センチ。車幅と車高がそれぞれ2~6センチ程度大きくなってるから、要するに細長くなっているのだ。

ボディの大型化の理由は「アメリカ市場のニーズに合わせてゴルフバッグが積めるように」ということらしい。これでもまだ自分たちを「あくまでレース会社」と呼ぶか。

360_5.jpg「マラネロの跳ね馬がゴルフバッグっすかぁ?いやー日和ったもんですねえフェラーリさん」と意地悪な悪態をつきつつスペックを見ると、まず車重。軽い!約1400kg。このサイズでF355からマイナス60kgである。その理由はアルミボディとアルミフレームの採用なのだが、これはモデナよりも前にアウディが採用してる。そしてアウディよりも前にホンダが採用しているので全然偉くない。

エンジンはDOHC5バルブのV型8気筒で、F355よりも低い重心で、ボディが長い分前進した位置にマウントされている。

フェラーリ360モデナボディは軽いわエンジンの重心は低くてバランスは取れてるわで、実に理にかなってる車に仕上がっているので、ゴルフバッグの下世話さを許してあげましょう。
しかも実はこのモデナは、のちのフェラーリの歴史を変える設計思想が盛り込まれている。

リアのトレッドが1620mmに対してフロントが1650mm。つまりフロントの方が幅広なのである。ミッドシップエンジンの場合はリアが重いので通常リアのトレッドの方を太く作るのだが、このモデナは逆なのだ。

これはどういうことかと言うと、まずゴルフバッグを入れるためにホイールベースをびよーんと伸ばすと、直進安定性は向上するのだが、重くて曲がらない車になる。その重さはアルミボディによる軽量化で対応し、次に前輪を左右に距離を伸ばして配置する。つまりいつもより脚を広げて踏ん張らせるのだ。そして左右にガバっとあけたエアインテークから空気を入れてグランドエフェクトによってフロントを地面に押し付ける。

しかし、前輪にかかる荷重が大きくなると路面のコンディションの影響をもろにかぶってしまい、ハンドルを取られる危険も出てくるから、タイヤを細くすることによってハンドリングと乗り心地の両面をカバーしようという発想なのだ。なんだ完璧じゃないかこの車。

こんな完璧な車な上、生産時期が、おりしも自称本職のF1におけるスクーデリア・フェラーリの絶好調と重なったものだからこのモデナ、フェラーリ史上最大のヒットとなり、売れに売れたわけである。ゴルフバッグなんか積んでるくせして。

フェラーリ360モデナ
ただこの車、マクラーレンF1に似てないこともないと思うのは気のせいだよな。きっと。

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このページは、kanazoが2008年7月 3日 00:00に書いたブログ記事です。

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