大風呂敷はたためる範囲にしましょう ~ベクターW8~

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ベクターW8今でこそアメリカにもサリーンみたいな欧州テイストのスーパーカーがあるが、昔のアメリカのスーパーカーと言う概念は、OHVでボンネットからスーパーチャージャーが突き出ててというパターンが多かった。もちろんノンターボである。なんかアメ車はターボ嫌いな部分があったし、今でもそう多くはない。

しかし、今から約20年前に発表されたこのベクターW8という車は、非常に欧州っぽくてそれでいてアメ車らしさを残した車だった。


ベクターW8エンジンはシボレー用アルミブロックOHVでV8ツインターボを組んでミッドシップに配置して、公称スペックは600馬力以上で最大トルクは5000rpmで80kg。うーん。しかしシャシーはハニカム材のフロアにアルミパネルを航空機用リベットと接着剤で組み立てたモノコック。うわあ怖えぇ!走っているうちに炎上してしまいそうなところまで欧州車を意識しなくていいのに。
しかもミッションはマニュアルではなく3速ATである。それで最高速度352km/hって言うのはあまりにも大風呂敷が過ぎたんじゃないだろうか。

ベクターW8

V8エンジンはミッドシップに横置きである。えーっと手前に見えているのはミツバチの養殖でもしてるんでしょうか。インタークーラーにも見えるんだけど、こんな部分に配置してまともに冷却効果があるとは到底思えません。

足回りはフロントはダブルウィッシュボーンでリアはドデオンアクスル、要するに半独立式。レーシングカー的な足回りだが、ロータス・スーパー7ならともかく、この車だと絶対曲がらないんじゃないだろうか。

ただし、全長に対してエンジンのマウント位置が思いっきり前に出ているので、重心は確かに良さそうである。この車を作ったワイガルドという人は元々航空関係の仕事を志していたそうで、まさしく離陸するような車を作りたかったんだろうなあ。なので、この車の発想そのものは随所に斬新なアイデアがある。



メーターパネルにはCRTディスプレイが採用され、車内の「管制」を行い、基本的にはレバーではなくボタンによる操作を行うという発想は30年前に「こちら葛飾区亀有公園前派出所」に登場しているのだが、あれに近いものを始めて実現しているのだ。


w8_4.jpg

写真ではちょっと分かりづらいが、フロントガラスを思いっきり傾けたはいいけど車内のラグジュアリー感との折り合いをつけそこなったしわ寄せが不自然にでかいダッシュボードに行っており、この車のダッシュボードはマージャンが出来そうなくらい無意味に広い。しかもフロントガラスがぎりぎりまで傾いているから携帯なぞ置こうものなら二度と取れないところまで滑り込みそうである。



この車がデビューしたとき、アメリカの有力な自動車雑誌「Auto week」誌はワイガルドとベクターを「ピーターパンとネバーランド」と称して、この車の開発に関するあまりに非現実的な荒唐無稽なプロジェクトを批判して、訴訟になったという。ダメだよ君達そんな本当のこと言っちゃ。

そして実際プロジェクトが大風呂敷だったものだから、ベクターは経営に行き詰まりWX-3というモデルを発表してからインドネシアのVpowerという会社に買収される。ちなみにこの会社は同時にランボルギーニも買収しており、ベクターはWX-3にディアブロのエンジンを搭載したM12モデルを発表したところで経営にまたもや行き詰まり、今度こそ遂に力尽きる。

ベクターW8
Vpowerに買収されたと同時に同社を去った創業者ワイガルドは、水上バイクのメーカーを新たに設立して、やがてベクターの商号を10数年かけて取り戻し、性懲りも無く…いや変わらぬ熱意で再び車を作り始めた。それがこのベクターWX8であり、WX8は2007年のLAモーターショーでデビューしており、2010年までに市販される見通しだと言う

でもこの車のフロントって妙にスープラに…いや何でもないです。
ベクターWX8

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このページは、kanazoが2008年12月 6日 23:56に書いたブログ記事です。

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