元祖オラオラフェラーリ ~フェラーリ512BB~

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フェラーリ512BB
フェラーリという車は、テスタロッサ以降になると、急激に乗りやすく壊れにくい車に変貌する。まあもっともそれは「フェラーリにしては」なんだけど。
いわゆる「クラッチが重い」とか「エンジンが一発ではかからない」とか「ギアが入らない」と言った特徴が多少是正されたことにより、それまでタチの悪いホステスに入れ込んで身を持ち崩してもどこか恍惚とした表情で何もかも捧げきる奴隷くんのための「魔性の車梁山泊」から、「とりあえずお金があれば買える高級スポーツカーメーカー」になったわけですね。

フェラーリ512BB
しかしそれは80年代後半のことであって、70年代のフェラーリは、まさにイケイケと言うよりはオラオラ状態の化け物を作っていた。その化け物の代表格がこの512BBである。

ピニンファリーナが初めて空洞実験をしながらデザインしたボディの曲線はなめらかで優雅で、チェーン駆動からウェーバーのトリプルチョークキャブを採用して、エンジンを水平対向12気筒をミッドシップで搭載したのもフェラーリ初。
1973年に365GT4/BBがデビューしてから熟成を重ねて76年に登場したこの512BBは、最高出力を多少犠牲にしてトルク重視の車になった。

フェラーリ512BB
512BBの最大の特徴は、キャブの調整が非常に難しいところだと思う。状態のいい個体に乗るとそうでもないらしいんだけど、僕が乗ったことのある512BBは、3000~4000rpmくらいに、ほとんどストールするんじゃないかと思うくらいの谷があって、そこからさらにアクセルを踏むと、ずどどどーん!とエンジンがふけ上がるのだ。
あのR32GT-Rが「ドッカンターボ」なら、こっちは「ズドドーンキャブ」である。もう怖くて乗ってられない。

フェラーリ512BB


ハンドリングはまったく遊びがなく、軽く触れてもグイっと姿勢を変える。ただこれは好みだと思うから欠点とは言い切れない。実際慣れてくるとレスポンスの早さにちょっと快感を覚えてくるくらいだったから。




フェラーリ512BB


この素っ気無いステアリング周りは実にかっこいい。ちなみにシフトはテスタロッサとか328あたりからの「カッチン」という音ではなく「ジャッキンッ」という音でねじ込む感じで入る。あと意外なことにエアコンは結構効く。




フェラーリ512BB
デイトナが猛獣なら512BBは怪獣である。この時代ランボルギーニにはカウンタックを出していたが、よくよく考えてみると両者はライバルなどではなくお互い別次元の存在だったんじゃないかと思う。

このリアビューは官能的ですらある。その代わり内燃機関は色々とアレなんだけど。あとこの時代のこの扁平率のタイヤで300km/hオーバーっていうのはいささかマユツバものだが、そんなのはこの車の輝きを何ら損ねるものではない。


フェラーリに乗る人は、おおむね二種類に大別される。1つは何台か他の車を乗り継いで、体力のあるうちに一生に一度はとフェラーリを選ぶ人。こういう人にとってはここ10年くらいのフェラーリは充分にその希望に応えるだろう。ただし、70年代のフェラーリに乗る資格のある人というのは、「車に使役し車に仕える人」でなくてはいけない。一年の大半をキャブの調整やクラッチのオーバーホールなどで整備工場で過ごすことになるこのあばずれ女と、年に数回の逢瀬に恍惚とするような。

フェラーリ512BB

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このページは、kanazoが2009年3月 8日 01:06に書いたブログ記事です。

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