2009年4月アーカイブ

フェラーリ599XX8気筒のフェラーリは、「小さな」という意味で「ピッコロ・フェラーリ」と呼ばれている。つまり、フェラーリにとっては、12気筒こそがフェラーリであり、それ以下のものは「小さなフェラーリ」という位置づけをされるのである。確かにディノ246GTや308GTBは小さい車だったのだが、348tb(正確には328からか)から巨大化を始めたフェラーリのV8車たちは、F355、モデナときて430になると、これでも「小さな」と言い張るつもりかと言いたくなるようなビッグサイズである。

フェラーリ599XX

まあフェラーリというメーカーの矜持として「12気筒」というのは、時代がどう移り変わろうと決して譲れない魂なんだろうなあ。三つ子の魂と言うか死んでも直らないと言うか。
さて、現時点でフェラーリ唯一の12気筒なのはフェラーリ599GTBフィオラノである。エンツォみたいに恥ずかしくてどこも走れないような客寄せパンダではなく、量産車としてである。デザインは、奥山清行の手によるもので、あの絶望的にかっこ悪いエンツォをデザインした人間と同一人物とは思えない、デイトナを意識した美しい曲線で構成されている。

エンツォのときは寝起きで足でデッサン描いたのかね。


フェラーリ599XX

しかも今回599XXという完全な競走車両としてのリリースである。
フェラーリのプレスリリースによると「『選ばれた顧客』が参加できる技術工房的な車になる」そうである。

どうでもいいけど、エンツォをベースに開発されたFXXのときも思ったのだが、この「XX」の読み方って何なんだろう。
ローマ数字でいうところの「20」なのか、それとも「エックスエックス」なのか。個人的には「バツバツ」ってのが面白いんだけど。
「599XX」なら「ごーきゅうきゅうばつばつ」ね。

エンジンは599の6リッターV型12気筒をベースにチューニングが施されて、最高出力は700ps/9000rpm。700ps出せるって言うよりも、9000まで踏めってのが凄い。
うーん、いいなあこのフェラーリらしいクオリティ。




フェラーリ599XX


Cピラーのとこに突き出たマットブラックのこれは、
車内のテレビで地デジを観るためのアンテナではなく、空力パーツである。





フェラーリ599XX

こうやって後ろから見るとルーフ全体がそのまま空力パーツになっており、何となく理にかなった形状になっているように見える。
ただしこのリアスポイラーは雨が降ったら雨水がたまりそうである。




フェラーリ599XX


タイヤの熱を逃がす処理は、スリットかと思ったら完全にウィングになっている。これはフロントもリアも同じ処理がなされている。ただしちょっとヒットしただけでポッキリ行きそうだなあ。




とにかくエアロパーツが非常に特徴的に作られており、時速200km/hで約280kgのダウンフォースを発生するというのもハッタリではなさそうだ。








フェラーリ599XX
ちなみにこの599XXには、FXXと同じくテレメトリーシステムが搭載されるという。
つまり走行中の細かいデータがフェラーリ本社で解析されて、今後の新車開発にフィードバックされるというのだ。車庫入れに失敗してフェンダーを擦って泣いてるところとか、踏み切りで立ち往生しているところとかも、きっとフェラーリ本社に送られて今後の開発に生かされるに違いない。




何だって億近い金払わされて買った車の一挙手一投足をフェラーリにモニターされなきゃいけないんだという人間はこういう車を買ってはいけない。『選ばれた顧客』というのはそういう人なのだろうから。たぶんね。

フェラーリ599XX

朝日新聞の記者が、福田元首相が北京五輪への選手に対して「せいぜい頑張ってください」と言ったことに対して、揚げ足を取ろうと問題発言扱いしたら「せいぜい」という言葉は嫌味を意味するものではなく、本来は激励を意味するものなのを知らなくて、かえって自分のバカさ加減を露呈するというブーメラン現象が起きたのは去年の話わけだが。

Hamann Volcano SLRマクラーレン


ところで最近、ドアが上に開く車が多い気がする。特に欧州産スポーツカーに。それまでこういうドアってのはランボルギーニのお家芸だったわけだが、フェラーリがエンツォでそういうドアを解禁しちゃったからというのは無関係でもないような気もする。




ランボルギーニ・ムルシエラゴ


もっともエンツォは奥山清行のデザインで、奥山は年齢的にスーパーカー原体験世代なので、明らかにデザインのコンセプトにカウンタックのアレがあったはずだ。とりあえず欧州人はエンツォ以降、それまで黙殺し続けていた上開きドアが突然大好きになった。



日産R35GT-R


ちなみにこのGT-Rも、はるばるドイツくんだりまで持ってこられてドアをこんな風に改造されてしまうとは夢にも思わなかっただろう。





日産R35GT-R
ところで、こういうドアの開き方を、「ガルウィング・ドア」と一般的に言われるが、厳密にはこう言うのは「ガルウィング」とは言わず、「スウィング・ドア」と呼ぶのが正しい。

「ガルウィング・ドア」と「スウィング・ドア」の定義は、ドアのヒンジの位置で変わる。フロントタイヤの後ろにヒンジがあるのが「スウィング・ドア」で、ヒンジが屋根にあるのが本来の意味での「ガルウィング・ドア」なのだ。

ただし、ただでさえバカ重いドアを、真横に真上に開くとなると、それを支えるヒンジやスプリングを屋根につけるために相当の強度を要求されることとなる。そうなると剛性とかも考えると恐ろしく頑丈に作らなくてはならない。このため、マルチェロ・ガンディーニがカウンタックに持ち込んだ発想は革命的ですらある。

こうして、スウィング・ドアは一気に広まり、本来のガルウィング・ドアはあっさり駆逐されていったわけである。



というわけで、これが正しいガルウィング・ドアである。あともう1台アメリカかどこかで、ガルウィング車があったような気がするけど名前は忘れた。要するにそれくらい駆逐されてしまったわけだ。

まあでも、デザイン的には非常にカッコイイので、これからも欧州自動車メーカーには、せいぜいガルウィング車を作っていただきたいと思う。

メルセデス・ベンツ300SL
かつて僕がさる会社にいたとき、まだF430はスクープ写真の段階で、会社の工場に入庫しているフェラーリで一番多かったのは360モデナ、F355、あとはテスタロッサで、512BBは1台しかなかった。だから僕の512BBインプレッションは、たった一台の北米仕様512BBだけが根拠になっている。個体としてコンディションは中くらいだったらしいのだが、だとしたら上物の512BBはどんなにすごいんだろうと思うくらいに、実は「そう悪くない個体」に出会っていたのだ。

フェラーリ512BB
BBのフロントターンレンズは、イタリア国内仕様のみが白で、輸出仕様車は道交法の絡みで全部オレンジである。言われてみりゃ確かにそうだ。白はバックランプだもんな。この辺の適当さがイタリアなわけだが。

フェラーリ512BB

512BBは前半はキャブで、後半はインジェクションになった。僕が乗ったのはキャブで、ここでも書いたが3000~4000回転に、止まるんじゃないかと思うくらいにすごい谷があって、そこから爆発的なトルクが発生した。ギアは2速と3速が入りにくく、特に3速はGT-Rみたいな感覚で入れると跳ね返されるくらいだった。

だから正しい3速の入れ方は、2速からニュートラルに入れて一瞬間を置いて、がっちゃん!とねじ込むのである。ただでさえ生意気なフェラーリ相手に力任せっていうと、仕返しにぶっ壊れられて泣きを見そうだが、これはメカニックにはっきり言われたことである。「正確に、叩き込むように」と。

フェラーリ512BBケーニッヒスペシャル
365BBから多少パワーを落としてまでトルク重視にしたためか、ずどーんとトルクが来るこの512BBは80年代にはこういう情け容赦ない改造を施される個体が多く出回ることになる。ドイツのケーニッヒスペシャルズが有名だが、これらのオーナーはアメリカに多かったという。ようするに今までコルベットとか乗っててカウボーイハットかぶってコーラ飲んでそうなアメリカ人たちに愛されたのだ。

フェラーリ512BBケーニッヒスペシャルズ
ただし、エクステリアは大雑把だがハンドリングは繊細そのものの512BBに、こんな車幅を変えてしまうようなチューニングは、完全にレースオンリーならともかく、ロードカーとしては冷や汗かきそうな車になってしまったんだろうなあと思うのだが。

フェラーリ512BB
それでもこうしてみる512BBの美しさたるや、デイトナの神がかり的なそれと双璧をなすものである。やっぱりこういう車を持つ人っていうのは、その美しさとヒステリックなまでの走りの過激さに魅せられた「車に使役する者」でなくちゃいけないんだろうなと思う。それこそこの車を潰したら自分ももう車運転するのをやめるくらいの忠誠心を持つくらいの。
ネタはいくつかあるんですが色々忙しくって…。
とりあえず512BBのきれいなキャブ音でもどうぞ。