MP4-12Cと458イタリア ~頑固な紳士と陽気な優男~
ついにマクラーレンMP4-12Cのデリバリーが始まった。
果たしてマクラーレン・オートモーティブがどこまで本気なんだかわからなかったこの車だが、実際発売してみるとロードカーとして丁寧に作りこんだ性能と、モータースポーツという明らかな素性で、なかなか好評らしい。
あまりに丁寧過ぎて、評論家から「458に比べるとエンジンの音が地味なのが難点」と言われてしまったそうで、出荷直前にインテークサウンド・ジェネレータなる機能が実装されたという。スポーツ走行モード時に、どこぞのバルブが開いて、エンジンの音がよりダイレクトに車内に響くそうな。
くだらないと言うなかれ。意外と「感覚」っていうのは大事なのだ。僕は大昔に免許を取ったばかりのとき、当時の彼女の家の新車のカローラを運転したとき、その快適さと静かさにまったくスピードの感覚が無く、すいている道路だったらすぐに100km/hまで到達してしまっていたのだから。
ましてやこいつはペラペラボディを600馬力ですっ飛ばす車だ。心ゆくまでV8ツインターボの爆音とご一緒して下さい。
このカナブンが飛ぶときみたいにがばぁっと開くドアはバタフライドアと呼ばれる形式なそうで、この車はドアを開けるときにレバーの類は存在せず、なんかセンサーみたいなのでピッと反応して、がばぁっと開くらしい。なんか普通に乗ってたら真っ先に壊れそうな機能なんだけど。
前回も言ったと思うが、この車の商品としての成功は一重に「メンテナンス」にかかってると言っていい。間違いなく壊れやすい車だろうし、先代のF1みたいに工具からして専用工具ばかりで、普通の工場では修理ができず、毎回車ごと英国に送らないと直せないなんてことになったら非常に厄介である。もちろんこういう車を買う人間はその労苦を惜しみはしないんだろうけど、マクラーレン自身が今回この車のターゲットにしているのはそういう人間だけじゃないのだから。
さて一方ビューティフルにもほどがあるぞと言いたくなるこの458イタリアだが、とにかくデザインの非実用性と言おうか浮世離れっぷりが半端じゃないのである。しかも同じ浮世離れでもエンツォとかF50と言った、「ガレージにしまっておくフェラーリ」ではなく、「乗るフェラーリ」としては、たぶん512TR以来なんじゃないだろうか。
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